Kotetsu Shoichiro

10周年おめでとうございます。10年前、神戸という地方からカッコいい曲をどんどん出して「カマしてる」トーフビーツという同い年のアーティストを、四国という更に地方からインターネットを介して一方的に羨望と嫉妬の目で見ていた私が、いつの間にかそのトーフビーツと知り合って、何やかやと一緒になってやらせてもらう場面すらあるという今の状況はかなり不思議ですが、私のトーフさんに対する眼差しは10年前のそれとあまり変わりません。

自分にとってのトーフビーツ像には信頼できる音楽サーチャー(南米系もイケる)、DTMメンター、ゴシップ提供者、自営のブルーズの語り部などいろいろありますが、ことメジャー・アーティストのトーフビーツに限れば「日本のメジャーなレコード会社で、輸入文化としてのダンス・ミュージックをポップに表現できる数少ない存在」とも言えるでしょう。アンダーグラウンドな人はいっぱいいるし、それはそでクールな世界な訳ですが、「ダンス・ミュージックをメジャーで」というアーティスト像は基本的には2000年前後をピークにどんどん減少・撤退を余儀なくされていると思います。K-Popとかそういうものは除いてですよ。どちらかと言うと、CDレンタルショップにおける「J-CLUB」コーナーとでも申しましょうか……そもそもCDレンタルショップというもの自体が激減している訳ですからね。ダンス・ミュージックというもの自体は衰退していないし、することもないと確信していますが、その流通とかガワは刻一刻と変わっているという。

ということでこのリストでは、トーフビーツの、ダンス・ミュージックのクリエイターでありメジャー・アーティストという器用さ、二面性を念頭に選曲しました。「これ、クラブとかデカいスピーカーで聴いたらもっといいんだろうなあ」と思いながらパソコンやカーステレオで聴いてみて下さい。クラブとかデカいスピーカーで聴いたら実際もっといいと思いますが、そういう場所に行かない、行ったことがない、行くこともない、もしくは行ってみたいという人に夢を見せる種類の音楽だと思います。トーフビーツのNEXT DECADEも楽しみにしております。



 tofubeats new EP NOBODY